10年後に無くなる仕事??
今日のアンジュ
こんにちは 通関士の村田 博史です。
オックスフォード大学の教授が国内601種類の職業のなかで
10年後に無くなる仕事として
「税務申告書作成者」と論文を発表されたのは約3年前の話しです。
(論文の中で、コンピューターに代わられる確率の高い仕事として挙げられたもの)
週刊現代のネット掲載記事より抜粋(2014年11月8日)
通関士は輸入通関する際に荷主様から提出されたインボイスを元に
関税・消費税の税額を計算して申告書を作成後に税関へ申告していますので、
まさに「税務申告書作成者」に該当しています。
さらに2015年12月 野村総合研究所が発表したニュースリリースでは
人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業に
「通関士」 「貿易事務員」 が含まれています。
さきのオックスフォード大学の教授の論文と野村総合研究所のニュースに共通しているのが
「人工知能やロボットが人間の仕事を奪うこと」 になります。
これには異論を唱えたいです!!
確かに予測されている通り、人工知能等が発達して10年後に無くなる仕事はあるでしょう。
日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能等で代替可能になるらしいですね。
例えば、スーパーのレジで買ったものを自分でバーコードを読ませるセルフレジを導入している
お店などはレジ係が不要となってくるでしょう。
TPPやFTAを締結する国が増えてきて、その国から輸入されるアイテムの関税が無税になると
輸入申告時の税金の計算が容易になる可能性は高いものと思われます。
しかし、通関士の仕事は単純にHS CODEを判断し関税や消費税を計算するだけではなく
他法令(食品届出・薬事法など)においても精通していなければ成立しない士業と言えます。
さらに植物検疫・動物検疫やワシントン条約・商標権・意匠権の有無や原産国の判定など
多岐に渡って確認する必要もあるのです。
また、「貿易事務員」の船会社・倉庫・運送会社との折衝・連絡業務などはパソコンを使って
データーシステム化が進んで簡易になったとしても
人工知能が発達したロボットやシステムで対応出来ることには限りがあるものと思っています。
ルーティンワークでも想定外のトラブルが発生する事なんて国際物流においては日常茶飯事ですからね。
実際にバーコード、人工知能やロボットでは対応出来ないことのほうが多いように思います。
(ロボット化されて貨物の搬出入業務の効率が向上している倉庫は増えてきていますが・・・。)
これから先、何年経っても通関士・貿易事務員は国際物流において不可欠な存在でしょうね。
学者が考える未来と国際物流に携わる実務者の煩雑な業務内容とのギャップは大きいのではないで
しょうか。
知識と経験だけでなく、臨機応変に対応することが良い判断につながる仕事は
人工知能やロボットではまかないきれないでしょうね。
人間同士のコミュニケーションに人工知能等が介在してくる未来。
あまりにも無機質です。
それでは、また
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