税関の事後調査について その1
今日のアンジュ
こんにちは、 通関士の村田 博史です。
今日は税関の事後調査についてですが
知っておくべき大事なことなので複数回に分けて紹介したいと思っています。
まず、税関の事後調査ってどういうことなんでしょう??
事後とは税関が輸出入の許可をした後のことを指します。
要するに税関は輸出許可・輸入許可した後も実態について調査しますよ って事です。
調査目的としては
輸出の場合・・・輸出された貨物の手続きが関税法等関係諸法令の規定に従って、
正しく行われていたのかを確認する。
輸入の場合・・・輸入された貨物に係る納税申告が適正に行われていたのかを確認する。
詳しい内容は税関のホームページに詳しく紹介されていますね。
輸入事後調査の状況について
(日本関税協会の資料より)
平成26年7月~平成27年6月までに
税関が輸入事後調査を行った輸入者数: 3,545社
そのうち申告漏れ等のあった輸入者数: 2,363社
申告漏れ等の割合: 66.7%
納付不足額が多い上位5品目
1位 肉類
2位 電気機器
3位 機械類
4位 医療用具
5位 履物類
約7割とは かなりの割合で申告漏れ等があるようですね。
どのようなケースが申告漏れ等になるのかを事例で説明していきますが
一回では収まらないので複数回に分けたいと思います。
たくさんあるなかでワタシが一番多いと感じている事例は
<輸入者が無償提供した材料費用を加算していないケース> です。
無償とは??・・・金銭のやりとりが無い取引きのことです。
ようするに金銭のやりとりがない材料(例えば、衣類に付ける洗濯ネームやラベル)を
日本から中国へ輸出して、中国で生産した衣類にその材料を取り付けて輸入した場合は
金銭にやりとりがなかったとしてもその材料を提供するのに要した費用(海上運賃・保険料など)を
輸入された衣類の価格に加算する必要があるのです。
この価格を輸入通関時に加算して納税していないことが多いようです。
輸入通関時に加算する必要があるのを加算要素といいます。
無償又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務に該当するものは以下の通り
(税関ホームページより抜粋)
・輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの
(商品ラベル等も含まれますが、食品衛生法等の我が国の法律等に基づき表示することが
義務付けられている事項のみが表示されているラベルは除かれます。)
・輸入貨物の生産のために使用された工具、鋳型又はこれらに類するもの
(例えば、機械、設備、金型、ダイス等。)
・輸入貨物の生産の過程で消費された物品
(例えば、燃料、触媒等。)
・輸入貨物の生産に関する役務
(輸入貨物の生産のために必要とされた技術、設計、考案、工芸及び意匠)であって、
本邦以外において開発されたもの
これらを加算せずに輸入許可をうけた事実が事後調査で発覚しますと、
追徴課税の納付を指摘されます。
追徴課税:本来支払うべき関税・消費税及び加算税もしくは重加算税です。
(加算税・重加算税については またの機会にご説明します。)
この事後調査で約7割の輸入者がなんらかのケースで追徴課税を支払っています。
しかも、過去3年から5年分に遡って調査が行われますので
申告漏れを指摘された場合、相当な金額となります。
このようなことにならないよう輸出入通関をする際はよく確認して
申告漏れにはご注意下さい。
それでは、また
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