TPP(環太平洋連携協定)はどうなるの?
今日のアンジュ
こんにちは、 通関士の村田博史です。
アメリカの次期大統領がドナルド・トランプ氏に決定したことで
アメリカがTPPを離脱するのでは?? と報道されていますよね。
トランプ氏が宣言通りに保護主義政策をとるなら、雲行きは怪しくなりそうです。
でも当初から、自民党は公約(マニフェスト)で
「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。って
表明してましたよね。
ワタシは通関士なので貿易の観点から考えるとどうなんでしょう??
以下、個人的な意見です。
日本は資源が乏しく、産業構造においても輸出入の貿易に頼る割合が高い国です。
シンプルに表現すると
日本で産出したものを他国へ売り、日本で産出しずらいものを他国から買っていることに
なるのでしょうか。
日本で産出しずらいものだけでなく、日本の産業を守るために輸入通関時に
他国から輸入されるものには品物によって関税を課税することで
国内産品との価格バランスを取っています。
通関士は関税を計算して税関へ申告するのが任務でもあります。
日本人として日本製の品質が世界と比較しても高水準なのが自慢でもあります。
しかし、この構造自体が数年前から変わりつつあると感じています。
それは低賃金の労働力が魅力で中国や東南アジアに製造工場を置く企業・メーカーが増えたことで
日本で製造されたものを他国へ輸出する割合が年々減少しているのでは??と感じているからです。
日本車の部品などは世界中で作られていて、まさにグローバル化の象徴となっています。
また、そのことは円安になっても輸出の通関件数が当社において
それほど大きく増えていないことでも実感しています。
(数年前は円高・円安が要因で輸出入の通関件数が大きく変わることもありました。)
最近のニュースで日本の3大船会社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)が合併しても
売上高では世界シェアの約7%で1割にも満たないと報道されていましたよね。
TPP参加を表明している国は日本を含めて12ヵ国。
12ヵ国を改めて調べると
北米エリア:アメリカ・カナダ
南米エリア:メキシコ・チリ・ペルー
オセアニア:オーストラリア・ニュージーランド
アジアエリア:日本・シンガポール・マレーシア・ベトナム・ブルネイ
GDP(国内総生産)ではアメリカと日本が抜きんでています。
そもそもTPP(環太平洋連携協定)ってナンでしょう??
外務省のホームページでは
オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,
ペルー,シンガポール,米国及びベトナムの合計12か国で高い水準の,野心的で,包括的な,
バランスの取れた協定を目指し交渉が進められてきた経済連携協定のこと。 とあります。
よくみるとTPP参加国には
既に日本と2国間協定を締結している国が含まれていますよね。
メキシコ・マレーシア・チリ・ブルネイ・ベトナム・シンガポール・オーストラリアとは
EPA(経済連携協定) 2国間協定を結んでいるんです。
2国間協定にはEPA(経済連携協定)以外にもFTA(自由貿易協定)があります。
TPPやら、EPAやら、FTA・・・ 頭が混乱しそうです・・・。
日本貿易振興会JETROの説明によれば(以下、ホームページより一部を抜粋)
さらにEPA(経済連携協定)の状況を詳しく知っておくために税関のホームページをリンク付けします。
TPP(環太平洋連携協定)って
アメリカと日本を中心にしたFTA(自由貿易協定)が環太平洋パートナーシップへ
拡大されただけのようにも思います。
親分のアメリカと子分の日本とその仲間たちみたいな感じでしょうか??
政府試算ではTPPに参加すると貿易や投資の拡大で、
GDPを約14兆円押し上げる効果があるとする一方、
農林水産物の生産額は最大で2100億円、減少すると見込んでいるようです。
自民党の公約(マニフェスト)には日本の農林水産業を守るためにも
「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。 とありますが
GDPを大きく押し上げるTPPに参加するとメリットの方が大きそうですね。
しかし、政府の試算通りの経済効果が生まれるとイイのですが、
アメリカ国内などで日本製品の不買運動が起きる不安もありますし
TPPによって様々なデメリット(食の安全問題・農業や酪農の縮小・医療制度の改定など)があることも想定されています。
グローバル化の勢い vs 保護主義政策 どちらが勝つのでしょう?
(自分たちの生活に関わる大きな問題だから勝ち負けで済むことではないです・・、 念のため)
グローバル化の勢いを日常業務で体感している者としては
保護主義政策をとろうとするアメリカの動向が気になります。
保護主義政策といえば、イギリスのEU離脱も同じような見解からとすれば
数年後の日本はどういう立ち位置にいるのでしょう???
資源が乏しい日本にとっては今後も資源が豊富な国と経済連携協定を結んでいく必要性は高いと
思っています。
特にアメリカは日本の防衛問題も含めて大事なパートナーであることは間違いがないので
全てにおいてバランスを保つのが重要になりますからね。
トランプ氏が大統領になることでバランスが崩れないことを祈ります。
それでは、また。
0コメント